森の中の4人のブルターニュの少女(1892)
ポール・セリュジエ(1864-1927)
油彩/キャンバス
国立西洋美術館
この平面的で装飾的な色使いはゴーギャンの影響を受けていることがはっきりと解りますが、同時にゴーギャンを超えて明らかにひとつの形式に達した作品に感じます。このような暗い縁取りでくっきりと平面的に描かれた様式のことをクロワゾニスムというのだそうです。後期印象派のゴーギャン、ベルナールあたりから始まったようです。教会のステンドグラスのような、神聖で落ち着いた印象を受けますね。
セリュジエはいわゆるナビ派です。昨年都内で大規模なナビ派展がありましたが、セリュジエ、ボナール、ベルナール、ランソン、ドニ、ヴァロットンなどなど、あれには堪能しました。写実を超えて目に映る光をそのまま描いたモネや、セザンヌ、ゴッホ、ゴーギャンまでの印象派の絵画をさらに超えようとして模索を続けたナビ派の絵画には、印象派までには無かった意図的な装飾性や形式美があります。細部の単純化によって想像する余地が生まれ、それが見る者を深い内省に誘うのだと思います。