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第54回 主体展

2018年9月1日から9月17日まで(一般800円)
東京都美術館(1階 第1,2,3展示室)
「廻帰」井上 樹里

一瞬花札をイメージしてしまったのですが、縦長だからでしょうか、2枚一組だからでしょうか。抽象画で花札を作っても面白いかな、などとも思ってしまいました。和の雰囲気もあり、宇宙的なイメージも感じるうつくしい作品です。

 

 

 

 

 

 

「MOTHER 母」グェン・ディン・ダン

超写実画です。長い年月を生き抜いてきた人間の姿というものはかくも複雑で重みのあるものなのかとつくづく実感しました。最近は写実画とか印象画を見飽きてしまって抽象画ばかり眼に入ってくるのですが、やはり写実画はいいです。

 

 

 

 

 

 

 

「夏に向かう」山﨑 弘

windowsの起動画面を思い出してしまいました。青い空と白い雲、と言えば大好きな小堀進の作品を思い出すのですが、この作品もこれぞ絵画という典型的な自然画です。やっぱり窓を開けて見える光景で望むのはこういう風景ですよね。

 

 

 

 

 

「青の域 2018」松元 美奈子

ああ、何か良い感じです。抽象画って、この雲の形が、とか、顔の表情が、とか具体的に説明ができないので困るのですが、強いて表現すれば作品のタイトル通り「青の域」が良い、としか言いようがないですね。青の域のバランスが何とも言えず良いです。

 

 

 

 

「曼珠沙華(三景)」髙澤 一郎

絵の内容を確認する前に、ぱっと見て色のバランスだけで感動してしまう作品です。それぞれ一景ずつの作品でも十分作品として成り立つのでしょうが、組み合わせの妙ですね。

 

 

 

 

 

 

「象 2018」柏木 喜久子

よくこんなバランスを思いつきますね。シンプルで品が良くてモダンですが、伝統的な場面に飾られていてもまったく違和感は感じないでしょう。

 

 

 

 

 

 

「作品 59」横地 光

少しでもバランスが崩れると途端に生命力が無くなりガラクタと化す、そんな感じですね。単なるひっかき傷とペンキ汚れだよと言われれば、それもそうだよなと納得してしまいそうになりますが、でもそれがこうして額縁のなかで味わい深い作品として見事に成立しているのは、これはもう不思議としか言いようがないです。

 

 

 

 

 

 

 

「My Diary 2018 #6」田中 和枝

ぱっと見て一目でいいなと感じる作品、じっくり見てからいいなと感じる作品、それぞれあって、また当然見る人によっても様々な印象があるでしょう。わたしはこの作品をぱっと見て一目でいいなと感じたのですが、でもずっと見ているとガスレンジの周りのがんこな油汚れにも見えてしまうのです。美と醜は紙一重なんでしょうか。

 

 

 

 

「クスコ・家並」佐藤 良克

こういう風に家がだんだんに何層も重なるモチーフはよく見かけます。そのたびに何か原初的な魅力を感じるのですが、これは一体何なんでしょうか。地層のようでもあるし、採石場の岩面のようでもあるし、木々の枝や葉が重なり合うようなイメージもかすかに感じます。人間の身体も元はと言えばたったひとつの細胞が無数に分裂して出来上がったものなので、ああ良くここまで頑張ったよな、と細胞達が共感しているのでしょうか。

 

 

 

 

 

 

「返照Ⅰ」内田 結美子

これは色つきの薄いパラフィン紙を重ねたような作品で、色合いがとても美しいです。淡い色が額縁の中で見事に調和しています。でも近づいてよく見るとマティエールは意外にごつごつとしていて、これもまた楽しい。一粒で二度おいしい、ってお菓子がありましたよね。

 

 

 

 

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