2018年9月26日から12月17日まで
国立新美術館
「印象派のセザンヌ、ルノワール、モネあたりは見飽きちゃって・・」
そんな方にぴったりの展覧会です。
いい。すごくいい。傑作揃いです。東京国立博物館のデュシャン展は別に観なくてもいいと思いますが、このボナール展はあらゆる人にオススメです。写真撮影不可なので本展で展示されている作品の画像は貼れませんが、オススメのポイントを数点紹介します。
1.猫が可愛い
ぐでっとしたりべちゃっとしたりむにょーんとしている猫の姿が描かれている作品が5,6点ありました。単なる被写体として猫を描いているのではなく、本当に猫を愛しているんだなというのがひとめで解る作品です。猫の可愛いポイントを熟知しているのです。
2.写真の構図のような作品がある
ボナールの時代にはすでにモノクロ写真機があって、ボナール自身も写真を撮っていた時期があったようです。その影響かどうかは解りませんが、写真の構図のような、明らかに遠近感を強調した小品が数点ありました。ナビ派というと奥行きの無い平面的な特徴を思い浮かべてしまうので、少し意外な感じがしましたが、でもまあ考えてみれば最初からナビ派だった訳でも無いですしね。
3.色
色がいいです。印刷物やPC画面ではこの良さは伝わりません。鑑賞後に図録やポストカードを買おうかなと思って手に取ってみましたが、実物と余りにも違うので萎えてしまうのです。まあこれはボナールに限らず他の展覧会でも同じですが。
4.ナビ派?
これは同じくナビ派と呼ばれているポール・セリュジエの作品。はっきりとした輪郭線の中に色を面でべたっと塗る、クロワゾニスムという様式の典型的な作品です。ステンドグラスのような感じでもありますね。ゴーギャンやエミール・ベルナールらが始めた様式だそうです。
こちらはポール・ランソン。同じく平面的ですが、それに意図的な装飾が加えられている作品です。ランソンもナビ派です。ここまで装飾が入るとポスターとか商品のパッケージデザインとしても十分に使えそうですね。アールヌーヴォーの雰囲気も感じますが、同時代でアールヌーヴォーを代表する画家と言われたミュシャほどの装飾性はないです。
ドニの作品。画面に奥行きはありますが、色使いはやはりべたっとしています。あとは光の陰影にかなり意図的な装飾を感じます。印象派の作品はもっと自然な光の陰影ですよね。
こちらがボナール。やはり平面的ですが、ランソンとはまたちょっと違った装飾が散りばめられている作品です。
これもボナール。これは上記ドニの作品と同様に奥行きのある画面ですが、やはり光の陰影は装飾的に感じます。でもべたっとした色使いは消えています。
5.最後に
と、まあ同じナビ派とは言っても作風は様々ですが、浮世絵に触発されたと言われている平面的で装飾的な描写はほぼ共通のようです。全体的にはボナールの作風は、セリュジエやランソンよりもドニのほうに近いと思います。ナビ派は世代としては印象派のあとなのですが、ボナールの作品は平面的で装飾的でなおかつ印象派の光の陰影がたっぷりと入った画風のように感じました。
2回目観に行くかなあ。