2019年10月2日から10月14日まで
国立新美術館
落ち着いた穏やかな抽象画です。タイトル通り白と赤が綺麗。特に赤が。でも左上の白い長方形2つが窓に見えるとその横の茶色がレンガの壁に見えてきたりして、そうすると他の長方形も何やら意味ありげなものに見えてくるのです。
東京国立近代美術館にあるフランシス・ベーコンの「スフィンクス−ミュリエル・ベルチャーの肖像」が脳裏に浮かんだのですが、背景の線画図形と手前の多少グロテスクに見える物体がそう感じさせるのでしょうか。
「写真とペイント」や「実写と抽象画」と同様に「線画とペイント」の組み合わせも普段は目にしない組み合わせなので、それが脳を刺激するのかも知れません。とても面白いです。
このあたりの距離から見ると非常にビューティフルです。水衣のひんやりとした感覚も伝わってきます。パレットの水たまりにミドルタワーが映り込んでいるのも綺麗。
でも近づきすぎると透明なプラスチック部品の汚れとかが目に入ってしまい、遠くからだと水衣のイメージが伝わってきませんでした。距離とか光の具合でかなり印象が変わる作品です。
ぱっと見て和のデザインを感じます。どの辺が?、とか、じゃあ和と洋のデザインの違いは?、とか言われても答えに窮しますが、でもそんなことを知らなくても、ぱっと見て「和」と感じることができるのが人間の感覚の凄いところなんでしょうね。
横目で見ながら通り過ぎ、ん?と感じてまた戻って左右から確認し、離れたり近づいたりしながら確認してしまう作品です。PC画面ではこの感覚はちょっと判らないと思います。なんか絵の上に分厚い透明なコーティングがされているように見えるのがとても面白いです。
業火のような燃える赤、燃え尽きて炭化したものの、いまだくすぶり続けて熱が残っているような黒、そんな感じに見えます。本物の炭のような黒い枠も良い味です。