第36回 FAA富士美術展
2018年8月8日から20日まで(一般700円)
国立新美術館(2階展示室2D)
「蓮Ⅱ」杉山 憲子
これは原風景的なものを感じて思わずじっと眺めてしまった作品。感覚としては横尾忠則のY字路シリーズに似ています。昭和までの人間にはこのような風景は当たり前でしたが、平成の人間には、特に土のない環境で育った都会の人間には、この感覚は伝わるのでしょうか。
「逢いたい」佐々木 房子
これはトパーズとかオパールとか翡翠の美しさですね。その上に白く細い線で模様が描かれているのですが、形はわずかに魚が判別できる程度です。教室の黒板、ナスカの地上絵、地面や塀に描かれた落書き、CAD図面を次々にイメージしました。見る人によって違うでしょう。見るたびに様々な印象が生まれてきます。
ちょっとザオ・ウーキーが思い浮かびましたが、あそこまで紋様が明瞭ではないので、やはりこの線が組み合わさってこその作品です。クレーも感じましたが、でも、ああ、見れば見るほどいいですね。ウーキーよりもクレーよりもいいです。
「鹿踊り」仲村 公憲
力強さ、存在感があります。迫力的には片岡球子をしのいでいるかも知れません。生命力があるので、企業の役員室とか、一般家庭でもリビングなどに掛けると元気が出て物事がうまくいく感じがします。
「景Ⅰ」宮崎 ちよゑ
3枚掛かっていたうちの一枚です。もう一枚は首を下に曲げているもの、それから背景が光っている作品でした。これは背景になにもなく、白鳥の屹然としているさまに徳岡神泉を感じました。壁のかなり上の方に掛かっていたのでマティエールが確認できず残念でした。
「七里ヶ浜」堀 明子
この素朴さはほっとします。裸の大将的な素朴感ですね。みんな大好きな、海、山、夏休み。ああ、海に行きたい。