第86回 独立展(一)

最終更新日


2018年10月17日から10月29日まで
国立新美術館
「来宮神社の大クス」橋本 大輔

どこの公募展に行っても大樹を描いた作品は必ず数枚はあります。樹齢数百年、数千年と言う、人間の寿命とは比較にならない長い年月を経た巨木は、主題として魅力たっぷりなのでしょう。

気根でごつごつとした太い幹にはグロテスクさも感じますが、やはり感じるのは生命力です。生い茂った樹木の間から差し込む日の光に生命の神秘を感じます。

 

 

 

「#クリカテクラク」齋藤 将

ああ、もうこういうのは大好きです。猿ぐつわをされて座席の隅で体育座りをしている何故か汗だくなパンダ。ポテチトップスを抱えて舌なめずりをしているブタさん。あざらしマークの青いTシャツが素敵です。にゃんこは水色の浮き輪をして昔懐かしいハサミの入った切符を持っています。うさ公が食べているのは折り詰め寿司ですかね。車窓からうっすらと見える都会の高層マンションやらビルの風景も良い感じです。

さて、クリカテクラクって何なんでしょう。

 

 

「海と話す日」石川 和男

写実画で場面も異なるのですが、ぱっと思い浮かぶのは印象派の巨匠、モネの日傘の女でしょう。夢のように幸せな光景ですが、でもあり得ないどころか今日もどこかの浜辺に行けば見られる日常の光景でもあります。幸せは至る所に存在している、ということですね。

 

 

 

 

 

「マジック・タイム」渡辺 貞之

壊れた馬の乗り物、アタッシュケースから出てくる女の子、葉っぱに驚く子ども、何やら手に握りしめて目前を凝視する少年、机の下でうずくまってこちらを見ている子、上から落ちてくる穏やかな表情の人形。すべて関連性の無いバラバラの事象なのですが、それをひとつの画面に集めると何やら物語が生まれて、、来ないですね。やはり何のつながりもないままです。でもそれぞれの時間が混在している面白さはたっぷりとあります。エプロンを付けた茶トラが可愛い。

 

 

 

 

 

「生きるー堂々巡りⅡ」梅澤 千絵子

どうやらコラージュ作品のようで、近づいてよく見てみると英文や漢文の頁がそこかしこに貼られています。全体の色が海や川の色では無く、まったく水のイメージがないですね。絵肌もごつごつざらざらとしていて、なにやら錆び付いたような印象も受けます。でも綺麗です。

タイトルが気になりました。水草、小魚、プランクトン、食べて食べられて世代交代していく永遠の生命活動を表しているのでしょうか。

 

 

「方処(Ⅰ)」牟田 常文

なんか面白い陰影なので近づいて見てみると、刃先の丸い金属か何かで陰影の箇所に細かく傷で凹凸が付けられています。点描画のような雰囲気があります。幾何学的なCGのイメージもありますね。

 

 

 

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