福沢一郎展
2019年3月12日から5月26日まで
東京国立近代美術館
上記作品は以前から常設展で展示されていましたが、しかしそれほどの感銘は受けず、よって福沢一郎という名前も記憶に残っていませんでした。この作品を見て、ああこれを描いた人なのかと思い出しました。
そんな具合なので、実は今回来館の目的はこの企画展ではなく、常設展の徳岡神泉でした。企画展は来たついでに観ておくかな、程度の気持ちでした。
そもそも企画展のタイトルも、いかにも昭和初期の前衛的な雰囲気がぷんぷんしていてまったくそそりませんでした。『このどうしようもない世界を笑いとばせ』ですからね。批判とかメッセージとかが入っている作品は、想像の余地が過度に束縛されるので嫌いなのです。
などとぶつぶつ考えながら作品を観てゆくと、やがて福沢が戦後、ブラジル、メキシコ、アメリカを旅行したときの作品になりました。この時代からはこれまでの批判やメッセージ臭が消えており、その場所で生活している人間が実に味わい深く描かれています。それまでの福沢に対する印象は一変してしまいました。
この「埋葬」が本企画展で唯一撮影可能な作品でした。この裏側にあった「霊歌」を紹介したかったのですが残念です。ぜひ会場で実物を見てください。あとは「メキシコの男」もダイナミックかつ味わい深く好みでした。
あまりに良かったのでウエブで福沢一郎を調べてみると、福沢一郎記念館のサイトを発見。作品の画像と解説が年代順に紹介されている頁もありました。これを見ると本企画展での展示はありませんでしたが、抽象画もかなり良いです。
場所は世田谷区砧だそうなので今度行って見てきたいと思います。
結論:本企画展はオススメです。(なんじゃそりゃ)
気をつけよう 食わず嫌いと 先入観