並木道(1943)
松本竣介(1912-1948)
油彩/キャンバス
東京国立近代美術館
松本竣介の作品はこれまでに何十枚も見ていますが、この作品が一番好きです。誰も居ない並木道を一人歩いて行く男。画面からは孤独と不安を感じます。希望はほとんど感じないのですが、絶望も感じません。
自身の画家としての生活と、第二次世界大戦中の混沌として希望の見えない時代の雰囲気がこの作品に表れているのだと思います。
この絵で何を思い出すかというと、ロマン・ポランスキー監督の映画「ナインスゲート」です。主人公がナインスゲートに向かって歩いて行くラストシーンを思い出します。あれは地獄の門なのですが、どちらも同じ余韻をたっぷりと感じさせてくれる作品です。
もっと松本竣介作品が観たいという方は松本竣介ルームのある大川美術館がおすすめです。