おかえり美しき明治
2019年9月14日から12月1日まで
府中市美術館
それほど気乗りはしなかったものの他に見たいものもなく、でも暇でしかたがないので見に行ったのですが、これが予想以上に愉しめました。
やれ印象派は飽きただの、ポップアートだ現代美術だ、だのと普段つい言ってしまうのですが、この展覧会は芸術作品の鑑賞としてではなく、当時の風景風俗の記録として堪能しました。
わたしは昭和中期の生まれですが、その頃は東京と言えどもトタン屋根などの古い家が多く、細い道などもまだ舗装されていませんでした。その時代よりもさらに100年ほど古い時代を描いた作品が展示室内に並びます。でも自分の人生とはまったく縁の無い見知らぬ風景では無く、どこか懐かしい感じがします。
しばし、この当時の人々の生活を想い、感じ、感慨にふけりました。
この中で一番興味を引かれたのが、ワーグマンが描いた生麦事件の水彩画です。歴史の教科書でしか知らない出来事ですが、記録として見ると生々しい迫力があります。
最後には様々な画家が描いた富士山の数々。これを見て初めて当時の人々をうらやましく感じました。だって周りに高い建物が一つもないんですから。凜々しい富士山がどこからでも、何にも邪魔されずに見えたことでしょう。
この展覧会、ご年配の方にはぜひオススメします。