No.273(影)(1969)
高松次郎(1936-1998)
ラッカー、木
東京国立近代美術館
これまで何度か各所の美術館でお見かけしている作品。今までは面白さがさっぱり解らず、なんでこんな影なんかをわざわざ絵画で表現するのだろうといぶかりつつ、ほとんど素通りしていました。ところが先日、李禹煥の「余白の芸術」を読み、そうかこれは影をじっと見るのではなく、手前で楽しげに遊んでいる子どもの姿をありありと想像できないとちっとも面白くないのだとやっと気が付いた次第。教わらずとも感じ取れる人は感じ取れるのでしょうが、鈍い人間は誰かに教わらないとダメですね。
ちなみにこの「余白の芸術」は良いです。触発される文章が山のように出てくるので、最初は付箋を貼ってアンダーラインも引いていましたが、あまりにも多く出てくるので途中で面倒になってやめてしまったくらいです。出版されてからかなり年数が経っているのですが、いまだに文庫化にも電子書籍にもなっておらず、価格的にも5000円近いのでなかなか手が出にくいかも知れませんが、是非一度、書店で手に取ってぱらぱらと立ち読みでもしてみることをお勧めします。