月篁(げっこう)(1967)
東山魁夷(1908-1999)
紙本彩色
東京国立近代美術館
月下の竹林を描いた作品なのだそうです。いつもながらこの静謐な生命力をたたえて生い茂る木々の描写には感嘆します。
作品解説を読むと、この取材場所は京都の嵯峨野で、川端康成に「いま描いておかないと京都の風情がなくなってしまう」と強く勧められていたとも書いてありました。
この言葉で思い出すのが怪奇大作戦の第25話「京都買います」(実相寺昭雄監督)です。初放映が昭和43年ですので、もうその頃にはすでに京都の風情が無くなってしまうという危機感を多くの人たちが抱いていたのでしょう。
この怪奇大作戦は昭和中期の子ども番組ですが、この頃のウルトラマンやウルトラセブン同様、当時の社会問題も度々題材にしていて、大人が見ても耐えられる話も多いです。未見の方にはこの「京都買います」と「呪いの壺」あたりをオススメします。