第83回 自由美術展(2)
ポートレートの写真撮影のときにわざと背景をぼかしたりしますが、あの面白さを感じます。人間の目で自然に見る限りにおいてはこのような視点はあり得ないので、それを新鮮と感じるのでしょうか。
にじみの極致。綺麗です。上部などはフラクタクル図形のイメージもありますね。勢いのあるハネ具合とか絵具の飛び散り具合とかに目が惹きつけられます。
巨大な天体望遠鏡で見る何とか星雲のような、そんなイメージがあります。じっと見ているとそれ以外のイメージも浮かんで来るのですが、なかなか定まった形にまでは至りません。浮かんでは消え、浮かんでは消え、と言った感じです。
落書きと芸術作品の違いは何だろうと考えてみました。
5分考えました。
展覧会に展示されるのが芸術作品、消されてしまうのが落書き、という答えが出ました。自分的にはこの答えで満足です。
バスキアみたいに一見落書きのようでありながら高評価を得る作品もあれば、うまくまとまっているのにつまらない作品もあります。
いやあ、芸術作品って本当に面白いですね。
小山田二郎の鳥女のような、荒く激しいものを感じます。それぞれ片方だけだと凡庸に見えるのでしょうが、別々なものが区切られている境界をこういう形で見ると面白いです。結界があるので合わさることもぶつかることもできないが、しかしお互いの存在は嫌と言うほど感知している、そんな境界。
遠目には普通のデザイン作品に見えるのですが、近寄ってみると緑が草とかつるとかに見えて、さらに近寄ると線虫のようにうごうごと蠢く感じもあり、有機的生命体のようにも見えてきます。面白いです。