ドラ・マールの肖像
ドラ・マールの肖像(1941)
パブロ・ピカソ(1881-1973)
油彩/キャンバス
松岡美術館
良くも悪くも人間とは飽きる動物です。視覚に限らず味覚、聴覚、臭覚、触覚、思想にさえ人間は飽きる。たとえモネや東山魁夷の作品であっても、見続けていれば初めて見たときの感動はなくなります。何か今までとは違った物、今までとは異なる観点を欲するようになる。そこにくさびを打ち込むかのようなピカソのキュビスム作品です。
違う。確かに今までの絵画とは違う。違いすぎてさっぱり解らない。何だこれは。でも何だこれはと首をかしげながら見ているうちに、初めて見たときの違和感は徐々に消えていきます。美しいだけのものはすぐに飽きられてしまいますが、それ以上の何かを追求した作品は、たとえ初めは理解できなくとも、長い間心に残る作品になるでしょう。もっともその意図が成功すれば、の話ですが。